知的財産業務に関するお悩み事Vol.1

 中小企業の経営者の方、或いは企業の知財担当の方からよくお請けする相談事、悩み事Vol.1

1)他社と共同開発するときの注意点について

<相談内容>

開発を目指す商品を作るために、他社の技術が必要なので、共同開発を行う予定だが、その場合、どんなことに注意する必要がありますか?

<私からお答えしている内容>

共同開発する相手先の会社の状況によって大きく異なりますが、いくつか気を付ける点があると思います。

1.共同開発が始まるまでに

・相手先とは、共同開発を開始する時点ではいわゆる良好な関係であると思います。

 ただし、将来的には変化する可能性があります。

 それを前提として戦略を立ておく必要があると思います。

・共同開発が始まるとき、通常はお互いに機密保持契約を結ぶと思います。

 この契約を結んだ途端、御社が勝手に開発(特許出願も含めて)することに制限がかかります。

・まず、共同開発を始める前に、御社が持つ技術を洗い出し、

 もし特許出願するような内容があれば早急に出願しておくべきです。

 ひとたび相手先に技術を開示した途端、共同出願になってしまう可能性があるからです。

・御社が固有で持っている技術は、可能な限り、共同出願では無く御社単独の出願をした方がよいと思います。

2.共同開発が始まると

・共同開発が始まると、お互いが一緒になってアイデア出し等をする機会があると思います。

 そのとき、議事録(特に誰が何を発言したか?そのアイデアは誰から出されたものか?)をしっかり記録し、

 御社のみのアイデアは御社単独で特許出願するよう話を進めるべきと思います。

・将来的に相手先との関係が悪化すると、互いに市場を奪い合ったり、特許等の係争が起きる場合があります。

・最悪そのような事態になっても継続して事業を行えるように気を付けておく必要があると思います。

 

 なお、上記の内容はあくまでも私の私見ですので、一つの考えと思って読んでいただければ幸です。